元気スイッチ

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院長日記

2020.04.21

感染拡大させないことはなぜ大切か?

東京を始めとした大都市では医療崩壊が起きてきています。堤防が決壊するが如く、院内感染が拡がり、通常の医療が受けられず、治せるものが治せず、助かる命が助からない状況も出ていると思います。

幸い周南圏域は今のところ感染拡大が止まっています。後出しジャンケンできる我々は、これらの地域を参考・教訓にしながら、感染の芽を即座に徹底的に潰していく意識が必要です。少しでも気を許すと東京のようになるのはあっという間です。「指数関数的に増える」ということは、堤防が決壊したらドバァ〜と水が溢れてしまって止めようがないのと一緒です。昨今の大雨による川の氾濫をイメージすればわかると思います。

何度も言ってますが、都会の数字に勘違いしないで下さい。周南市には三桁、四桁の単位の病床はありません。はっきり言って、現在、徳山中央病院の指定感染病床しかありません(最大で12床)。

「それ以上を想定していないのか!」と怒る人いるでしょう。想定していないわけではないですが、新型コロナを受け入れるには、どの病院も恐らくワンフロアを専用に空ける必要があるでしょう。病院にもよりますが50人ぐらいを移動する必要がある。院内の他のフロアに全部移動することは困難です。恐らく問答無用で(通常大切にしている説明→同意の過程が省かれる)、退院や転院を余儀なくされるでしょう。場合によってはそれで悪化する人も出てくるということです。また、新型コロナに対応するには、医療スタッフも若い、持病がないなどの条件を検討する必要があり、自ずと知識も高い、病院の中でもエース級のスタッフでチームを組む必要が出てきます。おそらくコロナ専用チームは、コロナだけに専念せざるを得ないと思うので(院内感染防止のため)、通常の医療の質が下がる可能性がある…そして、感染拡大し、エース級のスタッフが疲弊したり、感染すればその病院の機能は崩壊します…

我々医療者はそのとき体を張る覚悟はあります。感染拡大している地域、そうでない地域でも我々の仲間は懸命に体を張って対応しています。まさに戦時中、日本国民、家族を守ろうと前線で兵士として体を張られた皆さんと一緒です。が、戦争は国民一人一人が頑張ってもどうしようもないところがあったかもしれませんが、新型コロナでは、皆さん一人一人の行動が、地域の医療を守り、家族や持病を抱えた方、高齢者を守ることができるのです。一方で、一人一人の心ない行動が悲惨な戦争中のような状況も作れる…

感染した人が免疫を獲得するのか?それがどのぐらい維持されるのか?ワクチンが開発され、そのワクチンの効果はどのくらいで、どのくらい持続するのか?

どうも新型コロナは季節性はないようなので、インフルエンザのように毎年繰り返すということはないんだろうと思います。一番いいのは、麻疹などのように感染したり、ワクチンで抗体を持ったら、基本的に感染しなくなって、たまに抗体がない人で発生して、慌てて隔離すれば大方孤発で終わる…これがインフルエンザのように罹患したシーズンは再感染しないけど、ワクチンも中途半端でならないことはないけど、重症化は防げるから打っといた方がいい…みたいなレベルだと、延々コロナと戦い続けないといけない(中東などのゲリラ戦状態)

何はともあれ踏ん張りどきです。さらにGWまでこのまま冷静に頑張り、GWは浮かれないよう、気を許さないように過ごす…そうすればGWの世界が少し変わるはずです。

めっっちゃ長くなりましたが、佐々木淳先生のFaceBook記事をご紹介します。以下、本文です。

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新型コロナ感染が拡大したニューヨークでは、心筋梗塞の入院が3割から4割減少したと報告されました。一方自宅や搬送中に死亡し、病院に到達せずに検死にまわり、心臓発作と診断された症例は4倍に上昇したそうです。

新型コロナで死ぬ人は少ない、神経質に外出自粛することの弊害のほうが大きいという主張もあります。
しかし、新型コロナがもたらすのは、肺炎死だけではありません。その他の疾患の増悪に対応できなくなり、普段なら助かる病気で死んでしまうかもしれません。

私たち人間は、裸のサル。単独では生きられない脆弱な哺乳類です。
しかし、コミュニティを形成し、助け合うことで、これまで生存を続けることができました。

たぶん感染しても軽症で済む8割の人にとっては面白くない話だと思います。しかし、そんな方々が安全に楽しく好きなことを言って暮らせるのも、コミュニティが機能しているからです。病気にかかるのは自己責任、弱い人が死ぬのは仕方ない、そんな世の中になったら、健康な人も安心して暮らせなくなりそうで怖いです。

医療現場には、誰を助けるのか=誰を見捨てるのか、をその場で決断しなければならない状況がすぐそこまで来ています。これまでは本人の意向を丁寧に確認するプロセスに重きを置いてきました。しかし、そんなものも全部吹っ飛んでしまいます。助けてほしいかどうかは関係ない、施設や人材に助ける余裕があるかどうかですべてが決まるのです。

寝たきりの98歳の高齢者で、本人が積極的治療を望まないならいいでしょう。だけど、まだ元気なみなさんのご両親や祖父母がそういう状況になったら?諦められますか?

こういうことを書くと、脅しだ、という人もいます。
しかし、東京の感染病床の稼働率は300%。救急車を呼んでも、100以上の病院が受け入れできない状況だった、というニュースも流れています。重症化した新型コロナは、普通の病気よりも治療に長い時間を要します。心筋梗塞ならICUにいるのは3日間。しかし、新型コロナ肺炎は、場合によっては3週間以上、人工呼吸器やECMOが必要になります。一人の重症者の発生が、医療機能を大きく占拠するのです。
日本のICUは人口10万人あたり4床しかありません。そして、もともとコロナ以外の病気で7割以上が稼働しています。いま、感染症対応病床、集中治療病床を増やしていますが、高度なケアに対応できる専門人材は急には増やせません。

接触を8割減らす。
自分たち自身を守り、コミュニティを守り、医療機能を守る。

誰にでもできることです。

せめてあと2週間。
ピークを少しでも減らすために、力を合わせましょう。

占部先生のフィードよりシェアさせていただきました。