元気スイッチ

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院長日記

先日、第183回山口県医師会臨時代議員会が開催され、出席して参りました。その中の代議員からの質問の中に、毎日新聞の3月の社説が取り上げられていました。表題は、「働かせ過ぎの勤務医 開業医との格差をただせ」。厚労省が勤務医や若手医師の残病時間を特例として年1860時間まで認める報告書をまとめたといことに端を発しているようです。中には「病院の勤務医が不足しているのは、開業医に比べて仕事はきついのに待遇がよくないからでもある。決まった時間だけ働いて往診をしない開業医は多い。勤務医が過労死ラインを超えて残業しても、年収はこうした開業医よりはるかに低い」とあります。
まず、勤務医vs開業医の対立軸を作り、分断しようとするのはやめて欲しい。言っておきます!開業医は、以前は皆勤務医だったのです。勤務医の大変な部分は誰よりもわかっている。が、開業して、開業医の大変さも改めて知ることになる。今、大切なのは両者が双方を思いやり、役割分担、連携を深めることなのです。一昔前の論調だと思う。
開業医は外来だけをのんびりとやって、時間が来たら家に帰って、ゴルフしたり、ブランデーでも飲んでいるように思っているのかもしれませんが、クリニックの診療以外に、医師会活動、学校医活動、産業医活動などを行っているのです。今、こうして徳山医師会の代議員として山口県医師会の臨時代議員会に出席しているわけですが、これも医師会活動で、山口県の医療を100名近い医師が集まって検討しているのです。勤務医の先生もおられますが多くは開業医。各市町の医師会もそうですが、こうした医師会活動があって勤務医の先生方も安心して医療に取り組める背景があるのです。救急医療で勤務医が疲弊しているように言いますが、開業医は休日夜間診療所などで夜間や休日の一次救急を担っています。この会議でも小規模医師会では開業医の減少、高齢化で、一次救急を担うのが大変になっていると深刻な悲鳴が挙げられました。出務免除年齢を80歳にしても対応困難という状況なのです。周南市も状況は一緒。少人数で当番を回すことは限界になってきている。70歳超えてもお元気なら手伝って欲しいというのが正直なところ。この新聞の記者は、勤務医、開業医合わせた医師の仕事をあまりに知らなすぎると思います。
「働き方改革」と言われているが、要はその人、その人の「働き方」や「人生観」や「QOL」であり、それが問われているのだと思う。就労時間の問題ではない。この質問をされた先生が言われていました。「術後の患者が死にそうなら何日も帰れないときもあった。でも、それが我々の仕事ではないか?」。全てがいいとは言わないが、医師の仕事はそういうものであることも事実。勤務医皆が多忙な訳ではない。科による忙しさや内容は違う。急患、急変が多い科でも人数が多ければそこまでストレスがないかもしれない。急患、急変がない科でも一人でやっている科では責任感もさぞかしだろう。科によっても、体制によっても様々。開業医も同様。私のように訪問診療をする医師もいれば、興味がない医師もいる。それも働き方。知り合いの消化器医が「自分は何でも見る内科はしないし、訪問診療もしないけど、高度な消化器検査を担おうと思って開業した」と言っていた。なるほど、それもありだと思った。これも「働き方」。同級生の整形外科医は、開業して手術や術後の管理からは開放されただろうが、開業整形が少ないためとんでもなく外来が忙しくなっている。毎日外来って意外と大変なのである。
とかく、開業医と勤務医の給与差言われるが、開業してわかるが自分で職員を抱えるストレス、責任感は計り知れない。職員の背後には子どもさん、親御さんもいる。人間関係がうまく行っていればいいが、うまくいかなかったり、退職などあるとまた大変だ。何度もハローワークに行ったことを思い出す。また、収入すべてが使える訳ではない。機器の保守、更新費用や、職員等の退職金などの蓄えも必要だ。様々な危機管理に多額の保険を掛けざるを得ない。だって、自分一人なんだもの。勤務医にはそれがない。だから、開業医の方が…と言っているのではない、要はそれぞれの選択、働き方ということ。
一昔前の対立軸を相変わらず掲げ、ある一面だけを捉え、対立を煽るのはやめて欲しい。勤務医、開業医が力を合わせ、自分たちのできること、できないことを話し合い地域の医療を繋ぎ、守っていかないといけない。勤務医だけに押し付けても、開業医だけに押し付けても回らなくなっているのが現実だと思う。その地域地域にあった医療体制を一緒に考えていかないといけないときだと思う。