元気スイッチ

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院長日記

2025.12.29

本年も大変お世話になりました。

超ぉ〜〜〜久しぶりの「院長日記」の更新になります(恥)。
FBでは投稿をやっておりましたが、こちらはFBより長文(腰を据えて書くというか…)な場合が多いので、ついつい…(反省)
さて、27日(土)をもって本年の診療を終了させて頂きました。新年は5日(月)からとなります。休みが長く、ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い致します。
ちなみに4日(日)の周南市の夜間診療所では内科当番として出務しておりますので、どうぞご利用下さい。

さてさて、本年を振り返りたいと思います。
今年一年を表すと「忙」につきます。
とにかく患者さんが多い…(もちろん去って行かれた方もいらっしゃるとは思います)
患者さんが多いのは経営的にはよいことです。選んで頂けることもありがたいことです。
が、当院のサービスがよいから…という営業努力によって得られた集患ではないように思います。
行き場がなく、集まって来られているように感じ、当方としても今年は「限界だ…」と感じることしばしばでした。
具体的には、
①今年は周南市の内科系医療機関が2件閉院されました。
呼吸器内科と循環器内科が主たる標榜科の医院だったため、何人もの患者さんがこちらへ来られました。
周南市には、呼吸器内科は標榜するクリニックが少ないため、受け皿が少ない事情があります。
②基幹病院が落ち着いた、落ち着いている外来患者さんをすぐに放出する。
国の思惑通りになっていると言えばそれまでですが、病院が入院治療に注力するようにするため、外来診療の報酬を高くしていないので、外来を頑張っても評価されない…また、「かかりつけ医」を持つことの推進、病院の「働き方改革」などによって、どんどん我々に押し付けられている気がします。我々は個人経営者なので、「働き方改革」は関係ありませんので、押し付け放題。また、どうも開業医は暇(ヒマ)して儲けていると未だに思われているように思います。
クリニック(診療所)には緩やかな空気が流れていて、ゆっくり世間話でもしながら、血圧をシュポシュポと測って、診察していると思われているのでしょうか?
最近の当院は、ご来院される患者さんには申し訳ないけれど、「3分診療」どころではない、「数秒診療」もザラです。
病院の先生が落ち着いたら、「地域へ返す」という流れはよいことだと思いますが、受け皿が少ない状況(周南市)なので、集中しているように思います。
基幹病院に入院になる前は、他院のかかりつけだったのに、退院後は、循環器疾患、呼吸器疾患があるので、当院で…というケースが今年は本当に多かった気がします。
③基幹病院や他院から在宅医療を依頼されるケースが増え、医療レベルが高度な人の依頼が増えた。
これは病院の医師やスタッフも、患者さん、ご家族も「在宅医療」という選択肢の意識が高くなってきた証拠かもしれませんが、今年は周南市東部の在宅酸素を要する慢性呼吸不全の患者さん、終末期ではあるものの中心静脈カテーテルを入れたり、入れた状態での在宅医療の依頼があったり、毎週、腹水(肝硬変)を抜かないといけない人など、そもそも当院には受診歴がない方の、困難症例の依頼も多かったです(なので、今年は在宅の看取り数が従来より多い)。
これも在宅医療の受け皿が少ないことを反映していると思います。
上記の①②③は私が循環器専門医であり、呼吸器内科も標榜し、在宅医療も行っているからでありますし、信頼も頂けているからかと勝手に思ってもいます(だからこそ、期待にも応えねばとも思っています)。
しかし、一方で、
地域の医療状況ゆえ、やむを得ず集まっているのも事実と思います。
(小野(おのクリニック)じゃないといけないわけじゃないけど、循環器、呼吸器ないし、他は受けてくれんし、小野はしのごのあんまり言わんからええか…といった感じかと)
以前もお話したように、私が開業して約20年で、旧新南陽は10件の医療機関がなくなりました。新規開業は2件、継承(息子さんが継いだ)は3件。私が開業した当時、50歳代で勢いがあった先生方が70歳代となり、勢いが落ちている(仕方ない)…
その中には継承の予定がない医院もある…
当院は「患者さんが多くて死にそう!」と言っているので、さぞかし儲かっていると思うかもしれませんが、今の医院経営は楽して儲けれることはありません。
今、「病院が赤字だ!」なんてよく言ってますが、病院・診療所における医療の値段は国が決めています。これを「診療報酬」と言います。
単純に診察して、処方箋を発行すれば最低限の診療報酬は得られますが、それだけでは厳しいので、その他、いろんな“にんじん”がぶら下げられています。
「加算」とかいうやつです。
○○したら、体制整えたら(準備したら)、生活習慣病の人に○○して、サインをもらったら…とか、一手間ふた手間かけて努力したら「追加(加算)」をあげるというものです。
これが結構、手間、お金を要する(紙代、器械の導入など)のです。
スタッフの処遇改善を命じられ、賃金を上げたり…
IT(デジタル機器)も利用していますが、患者さんが多いと、どうしても人員が必要になるので、人件費が相当かかってしまいます。
また、この物価高で、薬品、試薬、医療機器のリース代などが上昇し、出費が多くなりました。
診療報酬は国から抑制されているのに、出る方が増えている(人件費や医薬品や医療機器の料金)ので、馬車馬のように働いている割には利益が出ていないのが現実です。
そんな状況なので、今や開業医は楽してベンツに乗れ、高級ワインが飲め、ゴルフして、クラブでお酒が飲める時代てはないので、開業しようと思う人が増えるわけはありません。
今は、いろんな働き方があって、それが見えている時代なので、定年まで病院で好きな医療をして(少し嫌なこと窮屈なことは我慢して)、そこからのんびりと医療もしながら(それでもある程度お金は稼げる)、好きなことをする方が、人生としてはいいように思います。そんな人が増えていると思う。
また、開業するにしても、自分のやりたい医療に特化してやるスタイルの人が多くなった気がするし、開業医が増えるとしたら、そういう開業スタイルだと思う。
国が考えている「かかりつけ医」、開業医=かかりつけ医にはならない、増えない気がする。
自分がやりたい医療に特化して、風邪だとか、専門以外の診療、ワクチン接種、在宅医療、救急車の受け入れなどはやらなければ、忙しくならないし、自分のペースでできる。スタッフも多くはいらないし、なんなら予約などもデジタルにすれば、もっとスタッフ不要になるし、収益の効率がよくなると思う。
だから、自由診療部分が大きくなる「美容整形」を選ぶ医師が増えているんだと思う。
だから、当院のように真逆の医療をしているクリニックに患者さんが集まってきているのだと思う…

だが、当院のも限界があります。
息子が医学部4年生ですが、このままでは「継いでくれ」とは言えないし、「継ぎたい」とも思わないでしょう。
「循環器に特化したスタイルならしてもいい」(循環器を専門にした場合)とか、「在宅医療だけならする」とかなら可能性はあるかもしれませんが…

今年は真剣に、「診察券」をゴルフの「会員権」のようにして、発行の上限を設定して、空きがいくつか出たら、新規患者を募集する(受け入れる)…みたいなことをするか?新患さんは、よっぽど循環器疾患が高度(特化)でない限りは、周辺地域以外の方は受けないようにしようか?(お近くの医院をかかりつけとして頂く)などと考えたりもしました。

ダラダラと書きましたが、
私は行政が、足りない、なくなっていく診療科など、地域の医療状況を把握し、開業を支援したり、病院にその役目をしてもらうなど、周南市の医療を守り、医療崩壊を防ぐ意識を持ち、イニシアティブをとっていく必要があるのでは?と考えています。
開業が儲かる商売ではなくなっている以上、黙ってても開業が増え、地域医療が維持される時代ではなくなっていることに気づく必要があるように思います。

以上のようなことをクリアしながらも、よりよい医療サービスを今以上に追求しながら、地域にもっと関わりながら、持続可能なクリニックを目指すことが来年の目標です。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
(未校正で投稿します。乱筆乱文お許し下さい。内容は私の個人的意見であり、それぞれにお考えがあり、役割もきちんと果たされていることは重々承知しており、他の病院、医院を非難するものではありません)