元気スイッチ

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院長日記

2013.08.07

神経難病患者周南地域支援ネットワーク事業運営会議

「神経難病患者周南地域支援ネットワーク事業運営会議」が開催されました。

平成24年度より、その中の部会にて私含む開業医、訪問看護師、周南市の健康増進課精神・難病班の方々とネットワーク作りや「緊急時連絡カード」の作成を行ってきました。

今回はその経過報告や運用状況の報告も兼ねた会議で、基幹病院の専門医の先生、神経難病の方を訪問診療している開業医、周南・下松・光市の救急隊の方々、多くの訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所の方々、そして健康福祉センターの方々と多くの関係者が集まりました。

「神経難病」とは色々ありますが、現在は筋委縮性側索硬化症(ALS)、多系統委縮症(MSA)、多発性硬化症などを指し、だんだん筋力が低下し歩けなくなったり、食べれなくなったり、呼吸ができなくなったりする疾患を主な対象として考えています。

自分で呼吸ができなくなると、生きていくためには人工呼吸が必要となるわけですが、これらを装着して生きていくのか、装着せず人生を閉じるのか、大変辛く大きな問題です。

体の自由が利かなくなると、訪問看護、訪問介護、ケアマネ等、色々な業種が関わるようになるわけですが、人工呼吸を付けるのか、付けないのかという難しい問題を、ご家族含め、目をそらさず話し合う機会がなかなかありませんでした。

そのため、その時の準備ができず、急変時には不本意にも人工呼吸が装着されることもありました。

このたび「緊急時連絡カード」の作成を通して、人工呼吸装着についての考えをご本人、ご家族と話し合い、多業種間でその思いを共有し、その時に備えることができました。また、連絡カードは、カードを作ることが大切なのではなく、話しにくい、目を背けていたいことに、向かい合って話す機会を作るツールであり、多業種間で意思統一を図り、寄り添う体制作りを行うツールなんだとわかりました。

救急隊の方々は、「我々は生命反応がある限り、全力で救命することが使命」と、人工呼吸装着拒否の意思表示があっても、救急搬送の要請があれば全力で救命すると、難しい心情も吐露してくれました。

これからは多様な死の希望にも応えていかねばならない時代と思います。

このたびの会議は、それらのことを多業種で話し合う本当によい機会となりました。

ちょっぴり何かが“動いた”そんな気がした瞬間でした。