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院長日記

2020.03.14

新型コロナウイルス感染症情報_13

沖縄県立中部病院の高山義浩が、高齢者施設での対応指針をアップ下さいました。
先日、国から出たシナリオも踏まえ、高齢者施設からの発生を予防することが大変重要と考え、当院が関与する高齢者施設、障害者施設の職員さんには、自分たちが絶対に持ち込まないという意識を高く、高く持つようにとお願いしたところです。
入所中の高齢者、障害者の皆さんが自ら感染することはまずありません。職員や見舞者の持ち込みです。
通常、インフルエンサやウイルス性胃腸炎の発生では、施設内で隔離し、対応してきましたが、このたびの新型コロナウイルス感染症では、そうもいかない場合が想定されます。そうすると入院ということになるわけですが、一人発生すれば何人か発生する可能性があり、そうするとあっというまに周南市の入院機能がパンクします。大変失礼ながら高齢者施設の入所者さんは、いわゆる人生の最終章の方々であり、その方々がコロナだから、重症だからといって入院施設を占拠しては、もっとお若い方々が十分な医療を受けられない可能性が出てきます。そうすると、当然、医療機関からは拒否されます。特に精神障害者の方々は、コミュニケーションが取りにくかったり、安静が保てなかったりするため、入院を嫌がられるがちです。そうすると大変辛い状況に追い込まれます。つまり、施設でみざるを得なくなるわけです。そうすると施設内に感染が蔓延し、職員にも感染し、職員は出勤できない、取り残された入所者はどんどん死んでいく…という状況になるわけです。まさに地獄絵となる可能性があります。
ですから、高齢者施設や障害者施設の職員さんには、今まで以上に絶対に持ち込まない、自分たちが入所者を守るという意識を高く高く持つ必要があると思います。
高山先生が作成下さった指針を参考にし、この危機をなんとか乗り越えましょう! 以下、本文です。

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高齢者施設で集団感染の報告が重なっています。愛知県名古屋市のデイサービスでは53人が感染し、うち6人死亡しました。また、兵庫県伊丹市の介護施設では12人、千葉県市川市のデイサービスでは6人の感染が確認されています。
今後、国内において、新型コロナウイルスの感染拡大が予測されます。そうしたなか、高齢者施設における守りをどう高めるかが、今後の重要な課題となるでしょう。アウトブレイクが発生してしまうと、高齢者自身の命が危険にさらされるだけでなく、地域の医療機関への大きな負担となることも考えられます。
デイサービスであれば、一時的に休業することも可能ですが、高齢者が暮らしている施設を閉鎖することは困難です。なんとか事業を継続しながら、高齢者と職員を感染から守っていかなければなりません。
というわけで、以下、ベタ打ちで恐縮ですが、「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症への対応指針(案)」について紹介します。前から書かねばと思っていたのですが、高齢者施設の事情も様々なので、まずは沖縄県内の施設を回りながら、現場の方々と読み合わせながら育てていました。
そろそろ外に出せる程度にはなったかなということで・・・ ただし、いろいろご批判もあると思います。ご指摘いただきましたら適宜修正していきますので、どうぞよろしくお願いします。

なお、pdf版はコメント欄に貼っておきます。ダウンロードしてください。あと、例のごとく著作権は主張しません。自由に改変して、皆さんの施設で使いやすいものにしてください。
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高齢者施設における新型コロナウイルス感染症への対応指針
(2020年3月13日版)

1.はじめに

2019年12月に中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、世界各地へと感染が広がっており、国内では指定感染症に指定され、様々な対策がとられているところです。国内でも感染経路が明確でない感染例が報告されており、高齢者施設においても入所者や職員における感染事例が報告されています。
とくに、新型コロナウイルス感染症は、高齢者において重症化するリスクが高いとされており、入所者において疑われる患者を認めた段階から、適切な初期対応を行うことで、施設内でのアウトブレイクを防止することが極めて重要です。
本指針は、現在までに明らかとなったエビデンス等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症が地域で流行している状況での、高齢者施設における対応について考え方を示したものです。ただし、それぞれの施設における医療資源や人員配置には違いがあると考えられますので、あくまで本指針は目安としていただき、施設ごとの状況に応じて具体的な対応を検討いただければと思います。
なお、地域で流行している状況とする判断については、都道府県による発表等を参考としていただきますが、たとえば、「施設が立地する市町村において、どこで感染したか分からない患者が複数認められていること」などが考えられます。
また、現時点(3月13日現在)では、新型コロナウイルス感染症と診断された患者は、原則として入院勧告とされています。しかし、地域における感染拡大を認めた場合には、軽症者は自宅での療養が原則となるものと考えられます。本指針においては、このような対応を踏まえた内容としています。

2.施設内に新型コロナウイルスを持ち込ませない

新型コロナウイルスは、施設外から持ち込まれます。具体的には、面会者、納入業者、職員、医療機関を受診する入所者によって、ウイルスが持ち込まれることを想定する必要があります。

1)面会中止および業者の制限
このため、新型コロナウイルスの地域流行が認められているときは、原則として面会はすべて中止とします。
納入業者による物品の搬入なども玄関先で行います。どうしても立ち入る必要があるときは、玄関先でアルコールによる手指衛生を行ったうえで、トイレも含め共用の場所には立ち入らないように求めます。
なお、入所者の外出については、野外の散歩程度であれば制限する必要はありません。身近な買い物についても可能ですが、施設に戻ったときの手指衛生を心がけるようにしてください。

2)職員の手指衛生と健康管理
職員についても、玄関先で手指衛生を行ってください。出勤時の検温と症状確認をして、軽微であっても発熱や咳などの症状があれば休ませます。勤務中であっても症状を認めた時点で、必ず休ませてください。
職員と同居している家族が新型コロナウイルス感染症と診断されているときは、最後に暴露した日(同居する家族の症状を最後に認めた日)から14日間の就業制限が求められます。あるいは、その家族が表1に示すような新型コロナウイルス感染症を疑う状況であれば、これに準じた対応が求められます。

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表1 新型コロナウイルス感染症を疑うべき状況
・14日以内に新型コロナウイルス感染している者と濃厚に接触しているとき(患者と同居している/互いにマスクを着けずに数分間の会話をした/閉鎖された空間に1時間以上一緒にいた)
・発症してから4日以上が経過しているものの軽快せず、かつインフルエンザなど他の疾患が同定されていないとき
・地域において新型コロナウイルス感染症の大きな流行が認められているとき
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一方、家族に症状を認めていても、新型コロナウイルス感染症を疑う状況でなければ、当該職員に就業制限をかける必要はありません。ただし、新型コロナウイルス感染症ではないと言い切れるものではなく、最後に暴露した日(同居する家族の症状を最後に認めた日)から14日間を厳密な観察期間とします。この期間はサージカルマスクを必ず着用し、手指衛生も心がけながら業務にあたらせます。そして、勤務中でも症状を認めた場合には、すぐに業務から外れなければなりません。

3)定期受診の延長もしくは電話診療
入所者が医療機関を受診する際には、とくに感染予防を本人と支援者ともに注意する必要があります。医療機関では、定期受診する慢性疾患の患者と発熱患者とが接触することがないように、空間的もしくは時間的に分離する工夫をしていることがあるので、あらかじめ電話をかける等して受診方法を確認してください。受診するにあたっては、サージカルマスクを着用して、受診前後および院内の公共物を触れたあとの手指衛生を心がけます。
なお、慢性疾患の状態によっては、患者数が増大している時期に医療機関を受診しなくてよいように、長期処方を求めることも検討してください。また、電話による診療でファクシミリ等による処方箋発行が受けられることがあります。かかりつけ医に相談してください。

3.施設内で新型コロナウイルスの流行を疑うとき

地域で新型コロナウイルス感染症が流行している状況では、施設内で働く全ての職員は、標準予防策を徹底するとともに、常にサージカルマスクを着用して業務にあたります。
そのうえで、毎日2回、全入所者と職員について発熱や咳などの症状の有無を確認します。もし、ひとつのフロアにおいて複数の入所者や職員に発熱や症状を認めた場合には、新型コロナウイルス感染症が当該フロアで流行している可能性を疑います。さらに、これが複数のフロアで認められる場合には、施設全体で流行している可能性を疑います。とくに、発熱や症状を認めている入所者や職員の数が日ごとに増えている場合には、以下に述べる対策を緊急に開始する必要があります。

1)症状のある入所者への対応
医師の診察を要するかの判断
原則として、かかりつけ医の事前指示もしくは電話相談により医師の診察を要するかを決定します。一般的には、体温が37.5℃未満であり、咳や倦怠感などの症状も軽微であれば、経過を見守ることも可能です。ただし、表1に示す新型コロナウイルス感染症を疑う状況では、かかりつけの医師等に速やかに相談するとともに、必要な検査等が受けられるかを確認してください。
1日4回の状態確認を行って、症状が長引いている場合、呼吸苦を訴えている場合、意識レベルの低下を認める場合、水分や食事がとれなくなっている場合など、重症化の兆候を疑うときは、医療機関へ搬送する等の速やかな対応が求められます。

本人に求める感染対策
軽微であっても症状のある入所者には、できるだけ個室管理としてトイレも専用とします。部屋のドアは閉めておき、適宜、換気を行います。個室が確保できないときは、ベッド周囲のカーテンを閉める、他の入所者とのあいだに衝立を置くなどの飛沫感染予防を徹底します。やむを得ず室外に出るときは、マスク着用と手指衛生の徹底を求めます。
食事については、個室内で介助することが原則です。個室における専用の入浴以外は中止して、身体清拭とします。
使用したタオル等については、原則として他の入所者とは別に洗濯してください。どうしても一緒に洗う、もしくは共用する必要がある場合には、熱水で処理(80℃10分間)もしくは次亜塩素酸ナトリウム溶液(0.05~0.1%)に浸漬してから洗濯します。

ケアにあたる職員の感染対策
ケアにあたる職員は、サージカルマスクと手袋を必ず着用します。さらに、飛沫をあびる可能性があるときは使い捨てエプロンとアイゴーグルを着用します。担当する職員については、できるだけ有症者のみの対応とするなどして、症状のない入所者へのケアと業務が交わることがないようにします。
なお、サージカルマスクは利用者ごとに交換する必要はありませんが、手袋とエプロンは利用者ごとに交換してください。一方、アイゴーグルについては、当該職員専用としていれば、再利用することができます。これら感染防護具が入手できないときは、表2を参考として代用してください。

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表2 感染防護具が入手できないとき
サージカルマスク:布やガーゼによるマスクで代用する。鼻までが覆えるように工夫すること。ただし、防御機能は低下しているため、できるだけサージカルマスクを入手する。
手袋:ケア直後の丁寧な手洗いで感染は防御できる。
使い捨てエプロン:ゴミ袋の底に1カ所と側面の2カ所に穴を開けて、レインコートのように被ることで代用できる。
アイゴーグル:透明なアクリル板を適切なサイズに切って眼鏡に張り付けることで防御できる。
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2)症状のない入所者への対応
本人に求める感染対策
症状のない入所者であっても、できるだけ個室で療養いただきます。個室が確保できないときは、ベッド周囲のカーテンを閉める、他の入所者とのあいだに衝立を置くなどの飛沫感染予防を行います。また、定期的な換気を行ってください。
食事についても、できるだけ個室内で行うことが望ましいですが、介助する人員が十分でない状況等においては、症状のない入所者に限って共用エリアでの食事介助も考えられます。
トイレを専用とする必要はありませんが、できるだけ指定されたトイレを使用するように求めて、不特定多数が同一のトイレを使用することがないようにします。
入所者相互に交流するレクリエーション等は中止として、必要なリハビリテーション等は個室内で実施します。ただし、一定の距離を空けたうえであれば、テレビを観るといったことは可能と考えられます。入所者同士が直接触れ合ったり、近距離で会話することがないようにしてください。

ケアにあたる職員の感染対策
ケアにあたる職員は、サージカルマスクと手袋を必ず着用します。さらに、飛沫をあびる可能性があるときは使い捨てエプロンとアイゴーグルを着用します。

4)施設内の環境消毒
施設内で共用している手すり、ドアノブ等の高頻度接触表面について、アルコールや抗ウイルス作用のある消毒剤含有のクロスを用いて、1日3回以上の清掃・消毒を行います。
症状のある入所者の室内清掃など、とくに汚染が疑われる場所の環境清掃を行うときは、手袋、サージカルマスク、ガウン、アイゴーグルを着用します。

5)濃厚接触した職員への対応
すでに症状を認めていた入所者について、サージカルマスクとアイゴーグルを着用しないまま数分間以上のケアを行っていた職員は、最後に曝露した日から14日間の就業制限とします。
また、手袋を着用せずに、分泌物や排泄物と直接接触し、直後に手指衛生を行わなかった職員についても、最後に曝露した日から14日間の就業制限とします。

★pdf版です★
200313_elderly_facility