元気スイッチ

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院長日記

2020.03.28

新型コロナウイルス感染症情報_16

沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩先生のFBより。「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症への対策」の改訂版です。FBを見れない方もおられると思うので、シェアさせて頂きます。高齢者施設で働かれる方が見られたら、是非ご参考にして下さい。また、そうでない方も考え方としては大変参考になると思います。日々様相が変わり、毎日、大変な局面と言っている気がしますが、高山先生も毎日、日々の臨床の中で、このようなマニュアルをアップデートされ、我々に発信して下さっています。その宝を是非、皆さんと共有し、この難局を乗り越えたいと思います。山口市にも発生し、周南市もいよいよと思います。頑張りましょう。では、以下、本文です。

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欧米では、高齢者施設におけるアウトブレイク事例が重なっており、多くの死者が出ているところもあります。あるいは、介護従事者がいなくなったために、衰弱したり、死亡したりしている高齢者が発見される施設もあるようです。

こうした介護現場の混乱をできるだけ回避することが、高齢化が進展している日本では極めて重要になってきます。何よりも高齢者自身を守るためですが、介護従事者を守ることであり、ひいては医療体制を維持することにも繋がることだからです。

沖縄県立中部病院感染症内科では、「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症への対策」を作成して公開してきました。これまで地域で感染拡大している状況のみのバージョンでしたが、流行状況に応じた内容にしてほしいとの要望がありました。そこで、今回、新たに3つの状況に分けて改訂しましたので紹介します。

これまでのバージョンは(3)に該当します。混乱するようでしたら、当面は(3)だけで対策いただいても結構です。ただ、今後、数年にわたって流行と収束を繰り返すことも想定され、メリハリをつけていく必要があると思います。

そこで、地域での発生が認められない状況を(1)とし、地域での発生は認められているが入院勧告がかけられている状況を(2)としています。いまの沖縄は(1)に該当し、東京であれば(2)とするのが妥当でしょう。それぞれ地域の状況を見計らいながら、使いこなしていただけますと幸いです。

リンクや再配布に制限はありません。皆さんの地域や施設の実情に応じて、自由に改変いただくことも可能です(その場合は感染症内科のクレジットを落としてください)。また、ご不明な点、改善すべき点などご指摘いただけますと、次回以降の改訂に活かしてまいります。どうぞよろしくお願いします。

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(1)地域での発生を認めていない状況
http://plaza.umin.ac.jp/~ihf/others/covid_e1.pdf
200327_高齢施設対策_covid_e1

地域で感染者の報告はありますが、いずれも渡航歴や接触歴のある患者であって、流行状況は限定的であると考えられる状況です。十分な警戒が必要ですが、厳格な制限は求めません。たとえば、面会者に症状確認を求めますが、面会禁止とはしません。職員の健康管理が重要です。何らかの経路でウイルスが持ち込まれ、施設内での集団発生が引き起こされる可能性があることを前提とし、症状のある入所者への対応については強化します。また、感染防護具が不足する状況が続くことも考えられるため、アイゴーグル、マスク、ガウン、手袋について、必要な交換頻度と手に入らない場合の代用手段について紹介しています。

(2)地域で発生しており、患者への入院勧告が行われている状況
http://plaza.umin.ac.jp/~ihf/others/covid_e2.pdf
200327_高齢施設対策_covid_e2

渡航歴や接触歴のない患者の報告が増加しており、地域での流行が始まっていると考えられる状況です。この段階では、施設内にウイルスが持ち込まれないように厳格な対策をとる必要があります。すなわち、原則として面会禁止とし、納入業者による物品の搬入なども玄関先で行います。施設職員は常にマスク着用として、症状確認を徹底をします。入所者が医療機関を受診する際にはサージカルマスクを着用し、手指衛生を心がけることを求めています。症状のある入所者への対応についても、引き続き強化していきます。

(3)地域で流行しており、患者への入院勧告が行われない状況
http://plaza.umin.ac.jp/~ihf/others/covid_e3.pdf
200327_高齢施設対策_covid_e3

地域における感染拡大が進んでいる状況です。この段階では、入所者の感染が確認されたとしても、軽症であれば入院措置とはならず、施設において療養継続となる可能性があります。また、すべての疑われる患者に対してはPCR検査が実施されなくなることも考えられます。誰が感染しているか分からなくなっていることを前提に、施設を守っていく考え方を紹介しています。また、感染者が医療機関を多数受診している可能性があるため、入所者による不要不急の受診を避けることも求めています。

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なお、この指針には書きませんでしたが、感染拡大している段階では、在宅医療の役割が大きくなると考えています。それは、新型コロナへの診療というよりは、できるだけ慢性疾患を在宅や施設で支えていくことが重要となり、急性疾患についても在宅で治療しながら適切にトリアージしていくことが求められるでしょう。このあたりについては、在宅医の先生方による議論に注目したいと思います。