元気スイッチ

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院長日記

2020.05.24

「新しい生活様式」について

いつもの沖縄県立中部病院の高山義浩先生のFaceBook記事より。琉球新報に掲載された「新しい生活様式」について。
これからの「生活様式」、皆さんもとても悩んでいると思います。高山先生も文中に書かれていますが、沖縄と同様、周南市そして山口県も新たな発生はありません。
その状況で、ジョギング時にマスク意味あんのかなぁ?とか、横並びで食べる意味ってあるのかなぁ?なんて私も思うのです。
しっかり相手を知って(新型コロナがどういうヤツで、どういう形で感染するのか)、地域の状況に合わせ、強弱をつけながら、日常生活を送るということなんだろうと思います。
全く敵がいないのに、完全武装したり、籠城しても仕方がないですし、続きません(敵が見えないから恐いという気持ちもわかるけど)。
高山先生も、「せっかく流行が収束したんです。人生を楽しみましょう。そして、第2波に向けて英気を養いましょう!」と書かれているように、せっかく息がしやすく(生活しやすく)なったので、ここで元気を取り戻して、第二波に備えたいですね。
以下、本文です。
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今日の琉球新報。丁寧に「新しい生活様式」について報じておられます。コメントを求められたので、私は左下のコラムだけ提供しました。そして、文化の担い手である人たちが決めることであって、専門家の見解は後にすべきだとアドバイスして、現場の取り組みを集めてほしいとお願いしてました。
というわけで、本文は読んでなかったんだけど、いきなり政府の専門家会議が提示した具体例を紹介するとは・・・ あらかじめ読ませていただいた方が良かったかな?
すいません、Koji Wada先生、勝手にタグ付けさせていただきました。地方への波及および地方からのフィードバックということで、読んでいただくだけで結構です。よろしくお願いします。
その1 人が集まることや会話までも制限される?
リード部分にある文章。これは、たぶん専門家会議も言ってないこと。「人が集まることや会話において対策が必要なことがある」ぐらいが適正だと思います。せっかく「生活様式」という文化の話になったのに、いきなり「制限」という外圧的な言葉が使われたのは残念なことでした。
その2 外出時の会話にマスクを?
これは最大の論点ですね。私も結論はありません。ただ、この漠然とした呼びかけを大きなフォントで強調したのは残念でした。専門家会議も「屋内にいるときは」と条件づけていたはず。このままでは、子供たちが通学中までもマスクを着用することになりかねません。
私個人の考えですが、いまの沖縄の流行状況でマスクが必要な状況は限られていると思っています(コメント欄に詳細)。たとえば、学校や会社など特定の人々が集まる場であれば、屋内であってもマスクは不要です。もし、症状のある人が休むことがコンセンサスになっていない組織ならば、警戒してマスクを着用した方が良いかもしれませんが・・・。
たしかに、無症候でも新型コロナは感染させることがあります。でも、いま沖縄では地域流行が発生していません。観光客からの持ち込みは起きているかもしれません。しかし、観光客との接点のない学校や会社に持ち込まれるリスクは極めて低いです(病院や観光事業者は別)。
もちろん、リスクはゼロではありません。100の学校があって、1年間もすれば1カ所ぐらいは発生が確認されるかもしれません。でも、そのリスクのために、何万人もの子供たちがマスクを着用し続けるというのは、私はやりすぎだと思います。ただでさえ、マスクの感染防御効果については「ないよりはマシ」程度だというのに。
とはいえ、持病のあるお子さんについては、適切な着用方法を学んだうえで、マスクを着けていただいた方がよいと思います(主治医と相談してください)。あるいは、ご両親が心配でつけさせたいというお子さんからマスクを外させる必要もありません。「着けるべき人と着けたい人が着ける」が基本。あと、ご家族に風邪症状の人がいるというお子さんは、ちょっと大変だけど、ご家族が最後に症状を認めた日から14日間はマスクを着用した方がいいかもしれません。
その3 可能な限り真正面を避ける?
「会話をする場合は症状がなくてもマスクをし、可能な限り真正面を避ける」というのは、正気の沙汰とは思えません。子どもたちは、職場の同僚たちは、ほんとにこんなことをする必要があるのでしょうか? リアリティのない感染対策の呼びかけは、対策そのものの信頼性を失わせるだけです。
ギリギリ許容できる考え方は、「マスクを着用していない見知らぬ人から声をかけられ、自分もマスクを着用していないときは、可能な限り真正面を避ける」のはありかもしれません。でも、私はやらないかな。地域流行が始まったら別だけど・・・
その4 家に帰ったら、すぐに着替えて、シャワーを浴びる?
本気なのか? 大家族だと洗濯物が大変です。過大なストレスの割に、意味があるとは思えません。外出後、衣服に付着したウイルスからの感染事例があったのでしょうか? まあ、百歩譲って、病院などハイリスクな場所を訪れたあとなら、あるかもしれない・・・。
こういうプレッシャーは、一部の几帳面な方々に大きな精神的ストレスを与えています。そして、感染するリスクを怖れて、外出できなくなってゆくことがあります。これは大きな損失であり障害です。そういう人たちこそ、できるだけ外出の機会を保ち、適度な人との交流が求められるのです。
たとえば、乳児のケアをしているお母さんたち、ちょっと大変になってきていますよ。毎日検温したり、マスクが着けられないからと外出を控えたり、祖父母に会わすわけにはいかないと支援を断ったり・・・ とくに第1子だと力の抜きどころが見えにくいもの。しばしば、感染対策とは生活者に大きなストレスを与えます。ギリギリで頑張っている人たちの心を折ってしまうこともあります。
メディアの皆さん! 個別に慎重にアドバイスすべき事項を、漠然と呼びかけないでください。想像力をもってください。とくに地域で流行していないときは、「いまのライフスタイルで良いんだけど、よりよいものを求めるなら・・・」という言い方にしてください。
その5 食事は横並びに座り、会話は控えめに?
これは地域で流行しているときの対策。いまの沖縄では不要。観光客が利用するレストランでは必要かもしれませんが、家族や親族、友人が一緒に食べるときに横並びになる必要はないし、会話を控えめにする必要もありません。せっかく流行が収束したんです。人生を楽しみましょう。そして、第2波に向けて英気を養いましょう!