元気スイッチ

3-12-1 daijin shunan-shi
yamaguchi 746-0018 japan
TEL.0834-64-1170

院長日記

2021.01.30

恐れていたことがひとつずつ現実化してきています

恐れていたことがひとつずつ、周南市に置いても現実化しています。
高齢者施設(病院)クラスター、学校クラスター・・・次は何?

これは水面下(市中)で感染が拡大していることを反映しており、また、それは、相変わらず人の動きが止まらないことが原因と思います。

この1月に来られた患者さんの問診内容でも
・◯◯(=緊急事態宣言が出ている都道府県)から家族が帰ってきて、数日自宅に泊まっていた(このパターンは4例ぐらい聞きました)
・◯◯に仕事で行き、数日間シェアハウスに滞在していた
・◯◯への出張から戻った同僚が、そのまま出勤していた
・体育館で試合(大会)があった
・数人でカラオケ行った
(上記が皆さんコロナというわけではありません)

思い出せるだけでもこんな感じ・・・日々、これじゃあクラスター出るわなぁ・・・と思いながら診療しています。

高校クラスター発生を受け、周南市が対策本部会議を開き、協議したようですが(添付)、この件につき私見をいくつか。
まず、学生には罪はありません(もちろん、遠征先で遊んで持ち帰った・・・というなら別ですが)。
基本的に学校やクラブ活動において、どんなに感染対策しても、そこにウイルスが入ってくれば(教師、親、生徒などを介して)、感染避けることは難しいです(もちろん感染対策で感染を免れるケースもあるでしょうし、拡大範囲を小さくはできるとは思います)。
生徒は、仲間とひっつき、だべり、笑い、大声を出すものです。
これを知っておく必要があります。
ですから、「屋内で多数の児童生徒が集まり、呼気が激しくなるような運動や大声を出すような活動等は絶対に避けること」(添付記事より)なんて言っても、そもそもは無理だと思います。

私は、学校現場のクラスター対策で大きな問題のひとつが、試合、大会、遠征だと思います。
日々、同じメンバーで行われる学校生活、クラブ活動は、上記のようにどうしようもない部分が多いので、基本的な感染対策は徹底しつつ、ある程度のリスクやクラスター発生の可能性は踏まえつつ継続するしかないし、されていいと思っています。
しかし、この状況においても、未だに試合、大会が行われているのが現状です。
年末年始に様々な全国大会が行われました。今も甲子園の代表が発表されています・・・(コロナなんてどこ吹く風?)
私は山口県テニス協会の医科学委員であり、理事でもありますが、先週は中高校生の中国大会が山口市で開催されようとしていました(医科学委員会で話し合い、協会に中止を提言し、U16・18は中止となりました)。
先日の報道でもありました(「高校全国大会が感染源か、帰郷後に陽性判明相次ぐ(1月21日 日刊スポーツ))。
選手や家族が試合をしたい、見たい、気持ちはわかります。試合があれば出たい、やりたい・・・そりゃ当然。
しかし、運営・開催側がこの状況においても、やりたがっているのも事実で、正常に判断できなくなっているように思います。
運営・開催は各競技団体・協会や学校で、社会的立場もありますから、県境を超えた移動を促し、試合後に感染が発生し、地元の学校現場に拡がった場合の影響を十分に考える必要があると思います。
年末に宇部市にて高校テニスの中国大会が開催され出務しましたが、試合では感染リスクが高いとは思いませんでしたが(テニスはコンタクトスポーツではなく、相手との距離があるスポーツなので)、部活動なので、スタンドでは並んで応援しますし(特に寒いとひっつく)、接戦となれば大声も出ます。試合が終われば一緒に公共交通機関に乗ったり、マイクロバスで帰っていく・・・つまり、競技自体は感染対策の工夫ができなくもないので、一見、開催は問題ないように、協会的には十分な対策をしたつもりになるけど、感染の原因はそこではなく、移動なんだということです。そこに目を向ける必要があります。

つまり、学校現場のクラスター発生は、生徒やクラブ活動が問題なのではなく、周囲の大人の移動や、生徒自体の移動を促す大人たち(協会など)が問題なんだということを自覚する必要があると思います。
11都道府県で緊急事態宣言が出ている中、山口県内ですら感染拡大が止まらず増え続けている現状においては、市、県、地方をまたぐ大会は、移動を伴い、移動先での行動や、移動中が一番の感染リスクであることから、無観客でやるとかそんな問題ではなく、一様に中止や延期を検討すべきと思っています。

感染拡大が落ち着けばやっていいと思います。それでも感染は、クラスターは起きますが、それは仕方ない。我々は全力で火消しします。それが仕事です。
ですが、「今、それやるぅ〜?」ってのが、一番困って、一番現場のモチベーションを下げます。

今、市内の主だった病院ではコロナ患者を受け入れるため、ワンフロア(50床程度)をそれ専用にするため、通常の患者さんの入院が難しくなっています(受け入れる病床が減っているので)。めまいや心不全、喘息で本来は入院した方がよい患者さんも自宅療養・通院点滴などで頑張ってもらっています。ご家族の介護疲れで、レスパイト入院させてあげることもできない状況となっています。一般の方々には見えない部分ですが、周南市の今の状況でここまで通常医療が影響を受けています。あなたや、ご家族が治療を受けたくても受けれないということが起こり始めていることも知って頂きたいと思います。