元気スイッチ

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院長日記

2021.02.08

ワクチン接種が大切な理由と、その前に大切なこと

高山義浩先生(沖縄中部県立病院)のオンライン講演(2/7)がありました。
戦時中のお祖父様の事から話が始まり、ダイヤモンドプリンセス号のクラスターから一年が経過し、そのときは語られなかった色々な話が聞け、大変興味深かかった。また、中盤からはコロナの様々なことを総括して話して下さり、大変勉強になりました(仔細が伝えられなくてすいません)。
で、その中で特に皆さんにお伝えしたい、共有したいことを書きます。

それは、今話題になっている変異株とワクチンのことです。
ポイントは
①変異株は今のワクチンが効かない可能性がある
②ワクチン接種は感染者をできるだけ減らした状況でこそ意味(効果)がある

です。

現在、変異株が話題になっていますが、ブラジル変異株は今のワクチンが効かない可能性があるようです。
その理由は、ブラジルのマナウスです。
マナウスでは昨年春から夏まで大流行し(ブラジル大統領の政策にもよりますが)、ブラジルのサンパウロ大学、イギリスのオックスフォード大学などのメンバーからなる研究チームが9月に発表した論文では、「66%の人が感染し、集団免疫に至り、流行が収束した」と発表しています。また、10月の時点では、マナウスの住民の76%が新型コロナに感染したという推計も発表されていました。
ところが現在、マナウスで再流行しています。
その原因がブラジル変異株と言われており、一度、コロナになって免疫があっても(夏までの流行は武漢株や欧州株)、変異株には感染するということ。そして、今のワクチンはが効かない可能性があるというわけです。

しかし、「それじゃあ、今のワクチン打っても仕方ないじゃん!」は早とちりです。
今、第3波、主要都市での緊急事態宣言から1ヶ月が経過し、まだまだ収束の目処が見えているとは言えない状況の中、全国各地でワクチン接種の準備をしているところですが、感染拡大状況でのワクチン接種は、ウイルスにとっては変異し、強くなる絶好のチャンスらしいです。
つまり、感染者が多い状況で、ワクチンを接種すると、ワクチンが効果を示す株は減りますが、ワクチンに抵抗を示す(ワクチンが効かない)株が生まれやすく、そして、増えやすくなるということです。感染者が多ければ多いほどその可能性は高くなるからです。
そのため、ワクチン接種前に流行をできるだけ小さく小さくし、ワクチンによって感染が拡がりにくい状況が作れれば、更に感染が減り、変異株が生まれたり、増える状況はなくなるわけで、極端な話、封じ込めも可能というわけです。
変異株は今後も出てきます。今のイギリス変異株や南アフリカ変異株、そしてブラジル変異株も、世界中の大流行が背景にあることは想像に難くないと思います。

東京などの流行地のことはわかりませんが、田舎でコロナが一人でも出たり、クラスターが発生すれば、周囲の状況が一変し、大騒ぎになることは皆さんもよくわかってきたと思います。また、火事も発生する場所の状況によって、消火が困難を極めることがあるように、クラスターも発生すると、大規模山火事のようになかなか鎮火できないこともわかってきたと思います。

とにかく今は、流行を小さく小さくする必要があります。
本日(7日)のニュースでアメリカ在住の日本人医師が、「春の緊急事態宣言化では日本はひとつになって乗り越えた。しかし、今は分断されている感がある。ワクチン接種を義務的に推奨するやり方ではなく、一人一人が打つ理由を考え、再び日本がひとつになる必要があるのではないか?」と言われていました。

ワクチン接種前に流行を可能な限り小さくし、できるだけ多くの国民がワクチンを打って、少なくなった敵を取り囲み、封じ込めてしまいたいものです!