2012.09.21
余宮先生の緩和ケアのご講演
『NPO法人周南いのちを考える会』が主催されている『第9回市民のためのホスピスケア講座』を聴講して参りました。
今回の講師は「埼玉県立がんセンター緩和ケアチーム」の余宮きのみ先生でした。
先生は『ここが知りたかった緩和ケア(南江堂)』の著者でもあり、私もこの本を持っておりました。
この本は通り一遍の緩和ケアの教科書とは違い、緩和ケアの悩みどころの対処法や考え方をきめ細やかに書いており、私のような知識や経験が少ない人間には本当にありがたい本です。
ご講演で心に残ったのは、
「『ターミナル』という言葉は、死というのは確かにこの世との別れではあるが、それは同時に新しい世界への出発点を意味する。したがって、『ターミナルケア』という言葉は、この世と新しい死後の世界への境目をケアするという意味である」というお話です。これは余宮先生が尊敬する柏木哲夫先生の「癒しのターミナルケア」という著書の言葉のようですが、私たちが利用する鉄道の駅なんかも『ターミナル』っていいますよね。駅に入ってきて、そして次の駅に向かって旅立つ・・・
これを聞いて、我々医療者は患者さんの本当に大切な時期、時間に関わっているんだなと思いました。
ターミナルケアをされたご家族が、大変満足されていたという話はよく聞くことですが、この言葉でちょっと納得したような気がしました。
もうひとつ心に残った言葉は、
よく我々も患者さんのガンを見つけた場合、『告知』をどうするか悩みます。
たいていのご家族は「言わないでくれ」と言い、たいていのご本人は「知りたい」と思っています。
先生は「言わないときの害は何かを考えることが大切。そして言わなければ緩和ケアは受けられない」と言われていました。
ガンのターミナルで緩和ケアはご本人の苦痛を少しでも楽にしてあげるために本当に大切です。
いわゆる「がん治療(抗ガン剤など)」より「緩和ケア」の方が、患者さんの延命に効果があったというデータもあるようです。
緩和ケアが受けれなければ大変です。
とはいえ、「告知」、悪い知らせをするのも大変です。
事実は何か、患者さん、ご家族の気持ちは?
緩和ケアが必要となる時期が来ることは避けれそうにないわけですから、そのときにしっかり緩和ケアを受けて頂くためにも情報を伝え、共有していくことは大切なんだなと思いました。
最後に一番大切なこと。
私が患者さんに安心してもらえる緩和ケアを提供できる実力をつけること。
日々精進したいと思います。