元気スイッチ

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院長日記

2020.04.08

新型コロナウイルス感染症情報_18

当然ではありますが、周南圏域第1例患者の濃厚接触者からの発生が増え、ついに周南市でも発生しました。最初の方が下松市在住で、その方の濃厚接触者が周南市在住だったからということではありますが…(今のところ感染源が追えている)。いつもの沖縄県立中部病院の高山義浩先生のFB記事です。ちょうど人数的には沖縄と同様で参考になります。
太字部分は是非、周南圏域の皆さんと共有しないといけません!以下、本文です。
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本日、沖縄県庁にて政策決定者の方々と懇談しました。私からは、今後の新型コロナ対策の要点として、以下のことを申し上げました。

1)県内で新たに12人の感染を確認しました。昨日は6人でした。ただし、その内訳として、県外からの渡航者や渡航者との濃厚接触者が多いことが特徴です。何らかの方法で、県外からの渡航自粛を求めていくことが必要です。

2)県外からの渡航者を減らせたとしても、地域での流行が始まることは避けられないでしょう。いま、厳格な外出自粛などを行ったとしても、潜伏期を踏まえれば、2週間程度は感染拡大が続くものと考えられます。

3)現在は1日あたり数人であっても、来週は20人。場合によっては100人のイメージが必要であり、入院患者が数百人となることも考えて対策をとる必要があります。とくに、軽症者が療養できるホテルについては、今週中に決着すべきです。

4)県民の協力があれば、2週間後には患者数がピークアウトしてくるものと思います。それまで医療現場は本当に大変ですが、何とか乗り切れるでしょう。しかし、県民が無頓着なままなら、2週間が経過した後も増え続けて地域医療が崩壊しかねません。

5)検査体制を維持することが前提です。合意しているPCR検査の対象者に検査が行われなくなれば、流行の実態が見えなくなります。私たちは入院患者の診療に追われており、増加する検査対象者の外来対応を続けることが困難になってきました。流行状況に応じた検査体制を確立してください。

6)イベント自粛などで感染を拡げないことも大切ですが、重症者を出さない戦略も併せて行うべきです。高齢者や持病のある人の外出自粛を呼びかけましょう。そして、高齢者施設を守るため、あらゆる手立てを講じてください。

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お話ししたのは以上ですが・・・ 実は、個人的には、とくに5)のことを心配しています。そのことを追記します。

私たちは全数検査を目指していません。そもそも、無症状や軽症で受診していない人もいますし、偽陰性もあります。県民の風邪症状すべてに検査を行うだけのリソースもありません。

なので、確定患者の10倍は感染者がいるとのイメージが必要です。私たちが見ているものは氷山の一角であることを理解して、見えていない部分も含めて抑え込んでいくことが必要なのです。

ただし、「誰に検査を実施するのか」については、できるだけ固定しておかなければなりません。そのために、沖縄県では検査対象者を明確にして合意しているのです。

私は、「検査を増やせ」という声には反論してきましたが、検査対象を縮小することには反対です。患者数が増えたからと、対象者を自由に動かしていては、もはや沖縄県で何が起きているのか分からなくなります。

検査できる医療機関の数を増やしたり、私たちがやっているドライブスルー外来にマンパワーを補充したり、検査だけを実施するセンターを新たに設置したり、患者数の増加に応じて検査体制を維持するよう手を打つべきです。もちろん、いずれ検査しきれなくなるのですが、いまはその時ではありません。

検査体制を維持するためには、保健所機能も強化しなければなりません。県庁は、総務部や産業部など他の部局から応援を入れるべきです。電話が繋がらないなら、誰かが代わってあげましょう。沖縄県では、保健所の電話相談を地区医師会が引き受ける方向で調整中ですが、これは急いだほうがいいです(すでに那覇市保健所の土日は那覇市医師会が対応)。

いまの保健所って・・・ 被災地の役場に似ているかもしれません。あまりに大変で、SOSすら出せないでいます。周りが気づいて、どんどん助けてあげないと、確定患者を数えるだけで精一杯になります。そんなことでは、診断している意味がありません。

患者への疫学調査により集団発生がないかを確認し、ハイリスクな環境を認めたら感染が広がらないように対策していくこと。とくに、病院や高齢者施設における集団発生の連鎖を阻止すること。いま、沖縄では、この地道な作業が極めて重要な局面にあります。