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院長日記

2020.06.01

未就学児童のマスク着用について_高山義浩先生の記事より

沖縄県立中部病院の高山義浩先生のFaceBook記事に、未就学児童のマスクの着用についてわかりやすく書かれていますのでご紹介します。
北九州の事例は悩ましいですね。小学生が何人も発生しており、ようやく学校が再開した矢先に・・・一生懸命対策を考えて再開された教師の方々は、「どんなに一生懸命にやっても無駄・・・」という気持ちも湧いてしまうかもしれませんね。どの生徒も症状がなかったようですので、症状がない状態で感染拡大されたらどうしようもないですもんね。これが新型コロナの困ったところですが、でも、そこはある意味想定内なので、昨日のブログにも書きましたが、有症状者が現場にいて拡げていないことが大事で、感染が最小限に留められていることが大切なんだと思います。
あとは休校のタイミングでしょう。新型コロナが発生して、その患者さんの会社に勤務する親がいたら、その時点で一斉休校にするのか?一番よいのは、その児童だけ休校処置がいいのでしょうが、それは無理でしょうからね。
できるだけ前もって考え、準備して、発生したらその都度、対応、修正していくしかないですね。
今日から6月、「第二波」の始まりとなっていくのか・・・緊急事態宣言が解除され、気分が緩んでいる今、少し手綱を締めていきましょう。
以下、本文となります。
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NHKニュースより「未就学児童のマスク着用」について取材いただきました。時間の限られた放送では、数十秒の仕上がりになると思います。以下、フルバージョンで・・・
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●未就学児童のマスク着用には、どのようなリスクがありますか?
マスクを着用するのには、「感染している人が飛沫をまき散らして、周囲に感染させないため」という目的と、「その飛沫を吸い込んで、自分が感染しないため」という目的とがあります。
飛沫をまき散らさない効果はある程度期待できますが、飛沫を吸い込まない効果は限定的です。どんなに適切にマスクを着用しても、どうしても横から空気は入ってきてますし、エアロゾル感染も疑われる新型コロナでは、とりわけ心もとないと言わざるを得ません。これは未就学児童に限らない話なのですが、まず、前提として押さえておいていただきたいことです。
新型コロナウイルスの感染経路は、飛沫だけではありません。感染者に由来する唾液や鼻水などが環境中に付着していて、それに手で触れてしまったあと、自分の目、鼻、口に触れてしまうという接触感染も原因となります。
子供はいろんなものを触るのが仕事のようなもので、その手は汚染されている可能性が高いのです。問題は、マスクを着用させていると、それが気になってマスクや顔を頻繁に触るようになってしまうこと。マスクで遊び始める子供もいるでしょう。友達に触らせることもあるかもしれません。これらいずれも、接触感染のリスクを高めてしまっているのです。
また、これから湿度の高い梅雨の季節になり、やがて夏の訪れとともに熱中症のリスクが高まっていきます。幼稚園で連れ立って公園に出かけることもあると思いますが、こういったときにマスクを着用させるのは大変危険です。
幼児はとくに、体温を調節する能力が発達していません。汗をかく機能が未熟なので、体温を下げるのに時間がかかってしまうのです。イヌなど毛に覆われた動物が、汗の代わりに早い呼吸をすることで体温を下げていますが、子供にとっても呼吸は体温調節の大事な機能。それをマスクで覆ってしまうことは、かなり残酷なことだと理解してください。
子供は体重に比べて体表面積が広い分、気温など周囲の環境の影響を受けやすくなっています。とくに幼児は、身長が低いために、地面からの照り返しの影響を強く受けます。大人が思っている以上に、子供たちは暑さを感じています。ただ、それでも水が飲みたい、休みたいと言えないでいるかもしれません。せめて、夏の野外ではマスクを外してあげてください。
もうひとつ、布マスクをつけているお子さんが多いと思いますが、汗をかくと濡れてしまいます。そうすると目詰まりしてしまって、呼吸を苦しくしています。これも残酷なことです。というわけで、屋内であっても汗をかくような運動をするときは、マスクを外させるように注意していただければと思います。
マスクは予防に有効なアイテムですが、接触感染の原因にならないよう適切に扱えること、苦しくなったときに自ら外せることなど、基本的なことができるようになってから着けさせるのが良いと思います。お子さんにもよりますが、せめて小学生になってからではないでしょうか。
もちろん、小学生になっても無理な子は無理です。「みんなが着けているから、あなたも着けなさい」では、感染対策の本来の目的を見失っていますね。子供の着用を一律に求めるのではなく、それぞれのお子さんの発達段階、あるいは基礎疾患の有無などを見据えて、マスクを着用させるかどうかを個別に考えるようにしてください。

●それでは、保育園や幼稚園の感染対策はどのようにすれば良いですか?
発熱や咳などの症状を認めるお子さんが登園することがないよう、それぞれの家庭が心がけることです。毎朝の検温や症状確認をしていただいて、もし症状があるなら休ませましょう。これが一番大切なことです。もちろん、そうしたお子さんのケアのため、ご両親のどちらかが仕事を休めるような社会を作っていくことも大切です。
ただ、ここで気を付けたいのは、喘息のあるお子さんとか、花粉症などアレルギー体質のお子さんのこと。あまりに大人たちが過敏になりすぎると、こうした子供たちが排除されることになりかねません。
風邪なのかどうかの判断は、それぞれの親に任されるべきです。先生が過敏になりすぎて咳や鼻水が出ているだけで拒否したり、他の親が「あの子と遊ぶな」といったことを自分の子供に言って、差別やいじめを助長するような社会にはなってほしくないです。ここは日本人が試されているように思います。
あとは適宜、子供たちに手洗いの生活習慣を身につけさせてください。とくに食事の前、そして外出して公共の場所を訪れたあと・・・ こうした生活習慣は、新型コロナ予防には、やっぱり限定的なのですが、マスクと違って不快感はないですし、感染リスクを高めるようなこともありません。それに、ノロウイルスなど他の接触感染する感染症だって予防しています。
―― その他、心掛けるべきことがあれば教えてください。
子供たちは、本や遊具を共有しているし、直接に触れあって遊ぶものです。常に接触感染が起きうる状況です。そんななか、飛沫感染に気をとられすぎないでください。有効性も限定的で、場合によってはリスクを高めているかもしれないマスクに、あまり力を注ぐ必要はありません。それより症状のあるお子さんを早めに発見して、ご両親に迎えに来てもらうことが大切です。
そして、子供たちが集団生活をする以上は、感染症のリスクを完全にゼロにすることは難しいということも理解してください。どうしても許容できない場合には、家庭でケアを続けるしかありません。幼稚園でも、保育園でも、与えられた環境で最善をつくしていただけると思いますが、先生方や子供たち自身が疲弊していくような感染対策まで求めるべきではありません。
有効性がはっきりしない対策はしないこと。負担が著しく大きな対策もしないこと。できない人に求めすぎないこと。実行可能かつ意義ある予防策にエネルギーを注いでいくことが、結局のところ感染対策を成功裏に続けていくコツなんです。互いを尊重しあいながら、協力しながら、豊かな暮らしが続けられるようにしていきましょう。